九州大学・先端医用量子線科学技術コース 平成25年度修了者
現職 公立学校共済組合九州中央病院・診療放射線技師
毛利 一彩(九州大学) 診療放射線技師
平成25年度に九州大学の「先端医用量子線科学技術コース」修士課程を修了しました。私は、学部時代の講義や実習を経て、放射線治療に興味を持ちました。当初、放射線治療はがん治療において、手術の補助的な役割を担うものと考えていましたが、本手法は高精度化により手術に劣らぬ成績であることや、なおかつ非侵襲的に行えることを知り、将来的には放射線治療に携わっていきたいと思うようになりました。そこで、より専門的な知識を習得しようと大学院の進学を考えたところ、診療放射線技師の養成課程が古くからある九州大学で、医学・保健学全般の知識を習得するのに最適な環境であることや、海外から研究生の受け入れも積極的に行っており国際的な感覚を養うことができることから、本コースを志望致しました。
本コースでは、放射線学科だけでなく、検査学科、看護学科と合同で行う講義も多く、他職種の意見を聞くことができ、これから働いていく上で参考になりました。また、専門分野の講義では、実際に現場で活躍されている放射線治療の先生方に話を聞く機会があり、臨床をあまり知らなかった私にとって新鮮であったことを今でも覚えています。さらに、所属していた研究室では、英語論文の抄読会や海外大学への学生交流もありました。英語に苦労しましたが、学部時代ではできなかった貴重な経験を積ませて頂きました。この結果、本コース在学中に医学物理士の資格にも合格することができ、大変感謝しています。
現在、私は病院にて放射線治療分野を担当しています。当院はTomoTherapyという高精度放射線治療装置を使用しており、IMRT(強度変調放射線治療)の専用装置です。IMRTとは照射野内の線量を変調させることにより、従来の照射方法と比較して、正常組織への障害を抑えつつ、腫瘍へのdose escalationを可能としたX線治療では最先端の照射技術です。そのため、装置の複雑な品質管理や高精度な治療計画が不可欠となります。このような環境の中、「先端医用量子線科学技術コース」で培った知識は大変有意義であったと実感しています。今後も学会や研究会に積極的に参加して、患者に安全な放射線治療を提供できるように精進していきます。
(2018(平成30)年8月掲載)